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日蓮大聖人のお言葉
「我が頭(こうべ)は父母の頭、我が足は父母の足、我が十指は父母の十指、我が口は父母の口なり、譬えば種子と果子(このみ)と身と影との如し」
『忘持経事』

さて、先祖供養。どのようにお考えでしょうか?
お線香をお供えする、お経を唱える、墓参りをする、回忌法要を営む、これらを先祖供養とお考えの方が多いと存じます。そこでまず「先祖」についてご一緒に考えてみましょう。

「あなたのご先祖は?」と質問されると、私はいつも「先祖は父親と母親です」と答えます。すると多くの方は「え!」と、怪訝な顔をなさいます。
今日、私がここにおりますのは、私の父親と母親のお陰なのです。何億人の中の一人として、何億人の中のたった一人とそれぞれ女房として、亭主として巡り合い、夫婦というご緑をいただいて「私」という存在が生まれました。産んでいただいて、その上育てていただいて、こうして世間様に出て歩ける今日がありますのは、すべてこの父と母がいるお陰なのです。この父と母にはまたその父と母が、つまり私のお爺さんお婆さんが、何億人の中からこの人でなければというご縁をいただいて一緒になった。このお爺さんお婆さんにも....何億人の..と考えますと、このように脈々と続くこれが先祖代々ということになります。ですから、今の私を中心に考えると、先祖の始まりは父と母とになるのです。

何かと云っては皆で集り、仏壇に手を合わせ先祖供養と呼ばれるものをして功徳を積んだと得意になっている方が時々おられます。私、そういう方によく云うんです。

私:
「あんた方、何やってんの?」「ご家族は皆達者なの?」
すると、

信者さん:
「具合の悪い老親が家に居るけれど、先祖供養を欠かすわけには行かないから」
と、おっしゃる方が意外に多いんですね。

私:
「先祖の一番最初の親に手をかけられないものが、何百年も前の先祖にどうやって手を合わせるんだい。親のお陰で今日こうして暮らしていける。そのお陰を感じた時に、その親を産んで育ててくださったお爺さんお婆さんに、またその前のご先祖代々に対してはじめて心から手が合わせられるんじゃないの。一番最初の肝心な先祖である親に手をかけずに、何百年も前の顔もみたことのない先祖に手を合わせても、筋が違うよ」

信者さん:
「そんな事いったって、生きた人に手を合わせるんですか?」

私:
「そう。生きている人を供養すればいいんです」

信者さん:
「じゃ、親にお題目あげろって事ですか」

私:
「どうぞあげてください。お題目をあげるとは、お題目を口先だけで唱えるんじゃない。身でも唱えろと日蓮大聖人はおっしゃってます。身で唱えるとは、お釈迦様から見て違わない、つまり人としてきちっと生きることです。その生き方の手本が「妙法蓮華経」に説かれていますが、それはお経の真髄であるお題目に照らし合わせた生活をする事に他なりません」
「親への感謝を姿に表わす、例えばお茶の一杯を入れた時、自分が口にする前に『お茶が入ったから、どうぞ』と。又親の好物を頂いたら『到来物だけど、先に食べてください』と。これがお題目を身で読むということの出発点なんです」

信者さん:
「なんだ、そんな簡単なことですか」

私:
「簡単だからできないんですね。まして、生きている時に手をかけられないものは死んでからではなおさらです。目の前にいるからこそお茶を煎れることが出来るんです。」

どうぞ、現在生きているこの場所をきちっと見据えて今の自分があることに感謝し、ありがとうございますと云う心で親に接してください。生きている時から親は先祖なんです。どうぞ、供養して差し上げてください。ここに先祖供養の第一歩があると信じています。

ここで大事なことをもう一つ。
私から見たら父親と母親は先祖で、そのまえにずーっと脈々続く方々を先祖代々だと云いましたね。そして子供は子孫になります。逆に子供から見たら私は先祖になりますね。子孫に対して先祖としての生き方を考えると、お釈迦様に納得していただける生き方をしなくてはなりません。これも先祖供養の一つなのです。

単にお線香を上げたり、お墓に花を供えたりするだけが先祖供養ではありません。今生きている自分を知り、分を知って、先祖と子孫に対してきっちりと生きる。その上で先祖代々の方々に、感謝の心をもってお題目やお経を唱え、線香を焚き、墓に参る。こうしてこそ初めて先祖供養が成り立つのだと信じます。
どうか何百年前の先祖に合掌すれば先祖供養は事足れりと思わず、最も身近な先祖であり子孫である親と子にしっかり向き合って、それが先祖供養の第一歩だと感じていただきたいのです。
合掌

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 第1話)先祖供養の第一歩 2003.09.15

 

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